住宅

【絶対に知っておいてほしい】窓に求める性能

窓ってどういった仕様を選べばいいのかしら?

私はいしたろうと言います。普段、一級建築士の住宅現場監督として働いています!

窓って断熱性能とかに影響して本当に重要なので説明しますね!

窓がなぜ重要なのか

窓の主な役割は採光と換気で、建築基準法でも最低限の基準が定められています。

他にも外の景色を見たり、熱取得、玄関から入らない家具の運搬等、様々な用途があります。

特に近年、快適な住環境を実現させる上で基準となるZEHを実現させる上でも窓の断熱性能は重要になっています。

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■参考:住宅の省エネルギー基準 早わかりガイド

なぜ住宅の断熱性能を向上させるうえで窓の性能が重要なのでしょうか。

この図は一般的な住宅における部位ごとに熱の流入と流出の割合を示しています。

冬季においては開口部からの熱の流失が58%と最も大きいです。

夏季においては開口部からの熱の流入が73%と最も大きいです。

つまり、開口部は熱負荷が一番大きく断熱性能の弱点となっていることが分かります。

逆に開口部の断熱性能を向上されば、住宅を最も効率良く断熱性能を向上させることができます。

なので、高性能の窓を採用することは、光熱費を抑えることができ、長期的にみるとかなりコストパフォーマンスの良い先行投資と言えます。

また、経済性だけでなく寒さ暑さも軽減されるため快適性も上げられます

 

日本の住宅性能の現状って高いの?

知ってほしいことがあります。

実は海外と比較して日本の住宅性能の基準はとっても低いんです。。。

信じられないかもしれません。けど、事実なんです。

このことを知らずに家を建てても「新築したけど意外と寒くない?こんなもんなのかな?」と思う悲しい日がくるかもしれません。

そして、各会社の営業担当はこういった日本の現状を知らないかもしれません。

そんな営業担当の会社から家を建てるのは怖くないですか?私は嫌でした。

大変かもしれませんが、快適な生活を実現するために自分も勉強して自分なりに納得のできる住宅性能を求めれば理想の住宅は実現できます

一緒に勉強していきましょう。

 

海外と日本の窓の性能の比較

次に海外と日本の窓の性能の比較をしていきます。

トリプルガラス普及率と熱貫流率

トリプルガラス断面

まず、トリプルガラスの普及率ですが日本3%で断トツ低いですね…。

次に窓の断熱性能を示す値に熱貫流率U値(W/㎡K)があります。

この熱貫流率の値が、低ければ低いほど、熱の移動を少なく抑えられるということです。

つまり、低い値の方が高性能ということです。

それでは海外と日本の熱貫流率U値を比較してみましょう。

上記の表の一番右が熱貫流率です。

各国と比較して日本の熱貫流率が高い(性能が低い)ことがわかります。

日本においては熱貫流率の最低基準が定められていないものの、多くの国では最低基準が定められているんです。

私は日本の建築が世界に遅れていることを知り衝撃でした。

ガラスとスペーサーの素材

上記表のウォームエッジスペーサーというのはガラスとガラスの間にある樹脂スペーサーのことです。

ウォームエッジスペーサーの普及率も西洋諸国と比較して低いことが分かります。

つまり日本では樹脂スペーサーではなく、アルミスペーサーが多く採用されています。

参考:日本板硝子東北(株)

省エネ建材等級表示区分

ちなみに日本では経済産業省が定めた窓の等級があります(下の表)。

■参考:YKK AP株式会社 HPより

一見、上記の表の★★★★の窓にすればかなり性能が高いように見えますが、世界基準で見るとむしろ低い方です。

ちなみに、ドイツでは1.3(W/㎡K)以下の窓しか設置できないため2.33では設置できません。

ヨーロッパの基準が高いのでしょうか。

近隣の国と比較してみましょう。

韓国の最低基準は2.4(W/㎡K)なので日本の最高基準と同程度です。

中国の最低基準は2.5(W/㎡K)なので韓国と同程度となっています。

韓国・中国の最低基準が日本の最高基準と同程度…これが現実なんです。

どんな窓を選べば良いのか?

先進国の中で日本の窓の性能基準が低いということがお分かりいただけたと思います。

では、どのような窓を選べば良いのか解説したいと思います。

まず、絶対に採用していただきたくないのが①アルミサッシ、②単板ガラスの窓です。

① のアルミサッシですが、軽く加工しやすいため、昔採用されていましたが、

下記表のとおり、アルミは熱伝導率が高いため(樹脂の約1000倍熱を伝えやすい)屋外と屋内の熱が移動しやすく結露の原因となってしまいます。

身近な例だとフライパンの金属部分が熱くなっても取手の樹脂の部分が熱くならないのはこのためです。

アルミではなく樹脂の窓を採用することを強くおススメします。

素材  熱伝導率w/mk  
アルミニウム200
樹脂0.2
0.16
84
ステンレス20
表 材料の熱伝導率

② 単板ガラスについてですが、最近は複層ガラスというガラスを2重、3重にした窓が主流です。

複層ガラスにすることで得られるメリットとして、ガラスとガラスの間に空気の層ができることで断熱性能が向上することが挙げられます。

イニシャルコストは上がってしまいますが、3重ガラスの方が光熱費が抑えられ長期的にみれば経済的かつ快適に過ごせます。

3重ガラスの採用を検討してみましょう。

つまり、樹脂製の3重ガラスの窓がおススメです。

断熱性能が高いため結露の発生を抑えることができてカビの予防のメリットもあります。

そして、気になっている会社の営業担当に「日本の基準をクリアした窓を採用しています!」と言われても

「ちなみにU値はなんぼですかー?」とさらっと聞き返しましょう。

その回答次第で営業担当の力量が図れます。

窓の配置等で配慮すること

窓の性能が断熱性能を向上させるうえで非常に大切であることは前述したとおりです。

他にも快適な住環境を実現させるために窓の配置等で工夫できる点があります。

窓の断熱性能を高める方法に金属の膜をつくる方法がある。太陽光をカットしたり、室内から熱が逃げるのを抑制してくれる。

南の窓を大きく計画する

冬を室内で快適に過ごすには南側の窓から太陽光を室内に取り入れて、熱取得を行うことです。

そのためプランニング時に南側の窓は大きめに計画することをおススメします。

我が家のリビングは南面が全面窓のため、冬の土日の午後は家族が自然と集まり皆で日向ぼっこしています。

太陽光は最高の暖房になるので太陽光をたくさん取り込める計画にしてみてくださいね。

一方で、夏場において太陽光は家の中に取り込みたくはありません。

そのため我が家では庇とサンシェードで夏の太陽光が室内に入り込むのを遮蔽しています。

LIXIL HPより

Low-E 複層ガラスの採用

特殊金属皮膜をコーティングしたLow-Eガラスを使用した複層ガラスを採用することで住宅の断熱性能を向上させることができます。
特殊金属皮膜をガラスのどこに貼るかにより断熱性が大きく次の2パターンに分けられます。

①〈断熱タイプ〉

東北以北の寒い地域でおススメ

室内側のガラスにLow-E金属膜をコーティングした複層ガラスです。

室内側に太陽光を取り込み、暖房熱を外へ逃しません。

冷暖房効果がアップし、夏冬の節電にも効果的です。

②〈遮熱タイプ〉

関東以南の広いエリアでおススメ

室外側のガラスにLow-E金属膜をコーティングした複層ガラスです。

夏は太陽熱の侵入を防ぎ、冬は暖房熱を外に逃がしません。

冷暖房効果がアップして、夏冬の節電にも効果的です。

参考:YKK AP HP

経済的で快適な住宅にするために

新築の際に、土地選びや間取りは大切です。

ただ、長く快適に生活する上で、私は断熱性能や機密性能といった目には見えない部分も非常に大切と考えます。

そして、法律を守っているからといって、十分な性能ではありません。

理由は簡単、日本の住宅の標準は低いから。

ローコスト住宅であればU値が4.65レベルに設定していることも多々あるようです。

住宅の購入価格は抑えられても電気代が上がったのであれば無意味です。

ちなみに約120㎡の標準的な住宅の場合、U値を1.7にするのに約30万円のイニシャルコストがかかり、

約30年間のランニングコストで約270万円ほど安くなると試算があります。

これから末長く住むマイホームなので、十分イニシャルコストは回収できます。

将来後悔しないためにも「3重ガラスの樹脂サッシ」の高性能な窓を採用してみてください!

そして、窓以外にも壁や床の断熱材、空調方式、換気方式、熱取得や熱遮蔽等、色々と勉強して納得のいくマイホームを皆さんが建てられることを願っております。

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  • この記事を書いた人

いしたろう

▶一級建築士。
▶住宅の現場監督。
▶2019年に住宅購入。
▶S&P500を中心に資産運用中。
▶2038年にサイドFIREを
 目指しています。

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